生成AIは文章作成や要約を短時間で行える便利な道具です。その一方で、**「AIに頼りすぎると、自分で考えられなくなるのでは?」**と不安に感じる人もいるでしょう。
結論からいうと、生成AIを使っただけで知能が低下したり、頭が悪くなったりすると証明されたわけではありません。ただし、AIの答えをそのまま受け取る使い方では、考える量や内容を覚える機会が減る可能性も指摘されています。
この記事では、生成AIと思考力の関係について研究から分かっていることと、自分の思考をすべて任せず、考えるための補助として活用する方法を解説します。
「頭が悪くなる」の意味を分けて考えよう
「AIを使うと頭が悪くなる」という表現には、いくつかの異なる意味が含まれています。
知能そのものが低下する
作業中に自分で考える量が減る
調べた内容を覚えにくくなる
AIがないと問題を解きにくくなる
自分の意見や文章を作りにくくなる
なぜ生成AIで考える量が減ることがあるのか
生成AIを使うと必ず思考力が落ちるわけではありません。 ただし、使い方によっては自分で考える過程を省略してしまうことがあります。
答えにたどり着く過程を省略できるから
通常、何かについて文章を書くときは、次のような作業が必要です。
生成AIに「このテーマで文章を書いて」と頼めば、 これらの作業をまとめて代わってもらえます。
しかし、勉強や理解が目的の場合は、答えにたどり着くまでの大切な過程も省略してしまいます。
読みやすい文章を正しいと思いやすいから
生成AIは、情報を分かりやすく整理し、自信のある文章で回答します。 しかし、自然で読みやすい文章でも、内容が正しいとは限りません。
回答が分かりやすいほど、「これなら正しいだろう」と考えずに受け入れてしまう可能性があります。
「できたこと」と「身についたこと」は違うから
AIを使って問題を解けたとしても、自分だけで同じ問題を解けるとは限りません。
文章作成や計算、プログラミングでも同じです。
研究ではどのような影響が確認されている?
生成AIと思考力の関係について、代表的な4つの研究を見ていきましょう。 それぞれ対象や調査方法が異なるため、結果だけでなく研究の条件にも注目することが大切です。
AIを使った作文では記憶や関わり方に違いが見られた
MIT Media Labの研究では、参加者を次の3つのグループに分けて作文を行いました。
自分だけで作文したグループは広い脳のネットワークが使われ、 検索エンジン、生成AIの順で脳の接続性が弱くなる傾向が報告されました。
生成AIを利用したグループでは、自分が書いた文章を直後に正確に引用することが難しく、 「自分が書いた」という感覚も低い傾向が見られました。
答えを教えるAIとヒントを出すAIでは結果が異なった
トルコの高校生を対象に、生成AIを利用した数学学習が調べられました。
通常型のAIを使った生徒は練習中の成績が高くなりましたが、 AIを使えない試験では、AIを利用しなかった生徒より成績が低くなる結果が報告されました。
一方、答えを直接教えずヒントを出すAIでは、このような学習面の悪影響が大きく抑えられました。
AIの要約は学習を浅くする場合がある
整理された答えを受け取る
自分で情報を選んでまとめる
生成AIの要約から学んだ参加者は、Web検索を使った参加者よりも、 知識が浅いと感じる傾向がありました。
その後に作成した助言も情報量や独自性が少なく、 ほかの人から採用されにくい結果になりました。
AIを信頼するほど確認が減る可能性もある
AIがその作業をうまく行えると強く信じている人ほど、 批判的思考を行ったと回答する割合が低い傾向にありました。
一方、自分で作業したりAIの回答を評価したりする自信がある人は、 回答を確認し、修正する傾向が強く見られました。
生成AIは「考える補助」にもなる
生成AIは使い方次第で、自分では気づかなかった視点を得たり、 考えを深めたりする道具にもなります。 違いは、完成品を受け取るために使うか、自分の考えを広げるために使うかです。
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1
AIへ聞く前 自分の考えを用意しない
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2
AIへの頼み方 完成した文章や答えを求める
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3
回答を得た後 内容を確かめず、そのまま使う
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1
AIへ聞く前 自分の考えや予想を少し書く
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2
AIへの頼み方 ヒントや反対意見を求める
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3
回答を得た後 情報を確認し、自分の言葉に直す
「私はこのテーマについて○○だと考えました。 足りない視点や反対意見を教えてください」
AIへ任せる
残しておく
すべての作業を自力で行う必要はありません。 目的に合わせて、AIへ任せる範囲を決めることが大切です。
まとめ
注意したいのは、AIの利用そのものではなく、考える過程まで任せてしまうことです。
AIを使うだけで、 知能そのものが低下すると確認されたわけではありません。
答えをそのまま受け取ると、 考える・覚える・学ぶ過程が減る可能性があります。
ヒントや反対意見を求めれば、 自分の考えを深める相手として利用できます。
AIへ聞く前に、自分の予想や意見を一行でも書いてみる。
完成した答えではなく、ヒントや反対意見を求める。
情報を確認し、最後は自分の言葉と判断でまとめる。
「私は○○だと考えました。足りない視点や反対意見を教えてください」
すでに理解している作業は、AIへ任せて効率化する。
答えではなくヒントを求め、自分で考える過程を残す。
すべてを自力で行う必要はありません。 目的に合わせて、AIへ任せる範囲を変えることが大切です。
