生成AIは、AIという大きな分野の中にある一つの種類です。
AIは、画像の認識、情報の分類、未来の予測などを含む幅広い技術の総称です。その中でも、文章・画像・音声・動画などの新しい内容を作ることを得意とするAIが、生成AIです。
AIと生成AIは、対立する別物ではありません。この記事では、一般に「普通のAI」と呼ばれる従来型AIと生成AIを比べながら、その違いを整理します。
AIと生成AIの関係|生成AIはAIの一種
最初に押さえたいのは、「AI」と「生成AI」は同じ範囲を表す言葉ではないという点です。
AI(人工知能)は、人が行う認識・判断・予測・会話などを、コンピューターで実現する技術や仕組みを広く表す言葉です。顔認証、迷惑メール判定、商品のおすすめ表示、自動翻訳などもAIに含まれます。
一方、生成AI(Generative AI)は、学習したデータの特徴やパターンをもとに、文章・画像・音声・動画などの新しい内容を作るAIです。AWSも、生成AIを「新しいコンテンツやアイデアを作成できるAIの一種」と説明しています。
見つける・分ける・予測する
すでにある情報から特徴を見つけ、分類、認識、判定、予測などを行います。
新しい内容を作る
学習したパターンを利用して、文章、画像、音声、動画、コードなどを生成します。
「スポーツ」と「サッカー」が別々のものではなく、サッカーがスポーツの一種であるのと同じです。生成AIではないAIもありますが、生成AIは必ずAIの中に含まれます。
「AIと生成AIの違い」を正確に言い換えると、「AI全体の中で、生成AIにはどんな特徴があるのか」という質問になります。AIそのものの基本は、「AIとは?」の記事でも詳しく解説しています。
従来型AIと生成AIの違いを比較
最も分かりやすい違いは、従来型AIが「答えを見つける」ことを、生成AIが「内容を作る」ことを主に得意としている点です。
この比較は、違いを理解しやすくするための大まかな整理です。生成AIも分類や分析ができ、従来型AIと生成AIを組み合わせたサービスもあります。実際の境界は完全に分かれているわけではありません。
身近な例で見るAIと生成AIの違い
同じ場面でも、「見分ける仕事」と「新しく作る仕事」に分けると違いが見えます。
受信したメールを「通常」「迷惑メール」に分類する。
内容に合わせて、丁寧な返信文の下書きを作る。
写真の中から人物や動物を認識し、分類する。
言葉で伝えた条件から、新しい画像を作る。
購入履歴から、興味を持ちそうな商品を予測する。
商品の特徴から、紹介文や広告案を作る。
Google Cloudも、従来型AIと生成AIはどちらか一方を選ぶだけでなく、目的に応じて組み合わせられると説明しています。
生成AIはどうやって文章や画像を作る?
生成AIは、何もないところから自由に考えているわけではありません。大量のデータから学んだパターンを使い、入力された指示に合う出力を組み立てます。
パターンを学ぶ
大量の文章から、言葉同士の関係や並び方を学習します。
指示を読み取る
質問や会話を、処理しやすい小さな単位に分けます。
続きを予測する
文脈に続く可能性が高い言葉の候補を計算します。
出力を組み立てる
予測を繰り返し、文章全体を作っていきます。
文章生成AIは、前後の文脈から次に続く言葉の確率を計算し、その処理を何度も繰り返します。画像生成AIでも仕組みは異なりますが、学習した特徴をもとに、指示に合う出力を少しずつ作るという考え方は共通しています。
生成AIでできること
生成AIは、作る内容によっていくつかの種類に分けられます。一つのサービスが複数の種類に対応する場合もあります。
文章・コード
質問への回答、メール、要約、翻訳、アイデア、プログラムの下書きなどを作れます。
画像
言葉で伝えた構図や雰囲気から、イラスト、写真風画像、デザイン案などを作れます。
音声・音楽
文章の読み上げ、ナレーション、効果音、BGM、楽曲などを生成できます。
動画
文章や画像をもとに、短い映像、アニメーション、広告案などを作れます。
「作る」といっても、最初から完成品を任せる必要はありません。文章の言い換え、案の比較、勉強の問題作成など、人の作業を助ける補助役としても利用できます。
使い方
まずは「この文章を読みやすく直して」「旅行案を3つ比較して」「この内容を中学生向けに説明して」のように、目的と希望する形を具体的に伝えるところから始めると、違いを体感しやすくなります。
生成AIを利用するときの注意点
生成AIは便利ですが、完成した出力が自動的に正しい、安全、自由に使えるという意味ではありません。
もっともらしい誤情報を作ることがある
存在しない人物・数字・出典などを、自然な文章で示す場合があります。日付、料金、制度、医療、法律などの重要な情報は、公式サイトや原資料でも確認が必要です。
個人情報や秘密を安易に入力しない
氏名、住所、電話番号、パスワード、勤務先の内部情報などは、そのまま入力しないようにします。サービスごとにデータの扱いや設定も異なります。詳しくは個人情報の記事で解説しています。
公開前に著作権や利用条件を確認する
生成した文章・画像・音楽を公開または商用利用するときは、似ている作品がないか、利用したサービスの規約に反していないかを確認しましょう。
最後の判断をAIだけに任せない
AIは判断材料を整理できますが、状況の責任までは負えません。重要な決定や公開物は、人が内容を読み直して最終判断します。
AIに下書きや候補を作ってもらい、最後は人が確かめて決める。これが、従来型AIにも生成AIにも共通する基本的な使い方です。
AIと生成AIの違いに関するよくある質問
ChatGPTはAIですか、生成AIですか?
どちらでもあります。ChatGPTはAIの一種であり、その中でも文章を生成する「文章生成AI」に分類されます。現在はプランや機能によって、画像・音声なども扱えます。
すべてのAIが生成AIなのですか?
いいえ。迷惑メール判定、顔認証、需要予測など、新しいコンテンツを作ることを主目的としないAIもあります。生成AIはAI全体の一部です。
生成AIは従来型AIより優れているのですか?
単純な優劣ではありません。文章や画像を作りたいなら生成AI、決まった基準で分類や予測をしたいなら従来型AIが向く場合があります。目的に合わせた使い分けが必要です。
生成AIは人間のように内容を理解していますか?
少なくとも、人間とまったく同じ方法で理解しているとはいえません。文章生成AIは、文脈から次に続く言葉の確率を計算して回答を作るため、自然な文章でも間違うことがあります。
AIエージェントと生成AIは何が違いますか?
生成AIは内容を作る技術、AIエージェントは目標に向けて情報を集めたり、道具を使ったりしながら複数の作業を進める仕組みです。詳しくはAIエージェントの記事で比較しています。
まとめ
生成AIは、AIと別の技術ではなく、AIという大きな分野の中にある一つの種類です。
認識・分類・予測・生成などを含む、幅広い技術の総称です。
すでにある情報を分ける、見つける、予測することを主に得意とします。
学習したパターンから、文章・画像・音声などの新しい内容を作ります。
参考資料
- Amazon Web Services, 生成AIとは何ですか?
- Google Cloud, When to use generative AI or traditional AI
- Google for Developers, Introduction to Large Language Models
- National Institute of Standards and Technology, Artificial Intelligence Risk Management Framework: Generative Artificial Intelligence Profile
