AIの回答はなぜ間違える?実例で分かるハルシネーション対策

資料確認:2026年10月12日実例の取得:2026年10月11日
AIの間違いを、元の情報から見つける

自然な回答でも、
元の情報を確認。

AIにメモを渡して、丁寧な連絡文を作ってもらう。便利な使い方ですが、完成した文章に自分が決めていない約束が加わることがあります。

実際に4つのAIへ同じメモを渡した記録では、Claudeが「決まり次第お知らせします」を追加し、Geminiは変更前の時刻を省略しました。一方、ChatGPTとCopilotは必要な情報を保ちました。

まず見るのは、日時・数字・名前・未定の条件。そして、元にない情報が増えていないかです。

元のメモ終了時刻は未定

あとで知らせる約束は書いていない。

Claudeの初回通知の約束が増えた

「決まり次第お知らせします」を追加。

修正後約束を削除できた

日時・場所・未定の情報は保持。

この記事では、ハルシネーションの意味と原因を整理したうえで、実際の回答を使いながら、間違いを見つけて直す手順を紹介します。

実例は、2026年10月11日に行った4サービス比較の連絡文課題を再掲したものです。本記事のために新しく取得した回答ではありません。

ハルシネーションとは?

ハルシネーションとは、AIが、もっともらしい誤情報を生成する現象です。実在しない本や論文、間違った日付、根拠のない説明が、自然な文章で示されることがあります。

米国の公的機関NISTは、これを「Confabulation(作話)」として取り上げています。自信があるように示される誤情報に加え、入力と食い違う出力なども説明しています。

定義の確認先:NIST「Generative AI Profile」2.2 Confabulation(PDF)

直す場所を、4つに分けて見る

ハルシネーションの範囲は、資料や文脈によって異なります。回答を見直すときは、「何が元の情報とずれたか」を分けると、修正する場所が分かりやすくなります。

回答を確認するときの4つの見方
ずれの種類見るところ今回の連絡文で確認したこと
事実の誤り日付・数字・名前などが、元のメモや確認した資料と違っていないか。4件では、日付・場所・変更後の時刻が別の内容に変わる回答は見られなかった。
情報の省略残すべき情報が、短くする途中で抜けていないか。Geminiの初回は、変更前の「14時」が抜けた。
元にない補足新しい事実・予定・約束などが加わっていないか。Claudeの初回は「決まり次第お知らせします」を追加した。
指示・形式のずれ文字数・項目数・省略や追加をしない条件を守っているか。4件とも100字以内だった。Geminiの省略とClaudeの追加は、それぞれ指定した条件に反していた。
分類は、重なることがあります

「情報を省略しない」という指示に反して時刻が抜けた場合は、省略と指示違反の両方です。すべてを同じ意味のハルシネーションとして片づけず、直す箇所を具体的に見つけるための分類として使ってください。

同じメモを、4つのAIに渡した

元のメモは、次の3文です。実際の予定ではなく、比較のために作った架空のメモを使っています。

AIに渡した元のメモ

10月20日の打ち合わせは、開始を14時から15時に変更。

場所は第2会議室。

終了時刻はまだ決まっていない。

これを、情報を省略・追加せず、100字以内の丁寧な連絡文にするよう依頼しました。「日時や場所を変えない」「決定と未定の区別を変えない」ことも条件にしています。

実際に入力した質問の全文を読む
以下は実験用の架空のメモです。
相手に送れる丁寧な連絡文に書き直してください。

条件:
・連絡文は100字以内。
・メモの情報を省略しない。
・日時、場所、決定事項と未定事項の区別を変えない。
・メモにない情報を追加しない。
・連絡文だけを回答する。

メモ:
10月20日の打ち合わせは、開始を14時から15時に変更。
場所は第2会議室。
終了時刻はまだ決まっていない。
4サービスの初回回答無料プラン・各1件
サービス元の情報確認した結果
ChatGPT日時・変更前後の時刻・場所・終了時刻未定を保持。情報を保持
元にない事実や約束は見られなかった。末尾の挨拶は一般的な表現として扱った。
Gemini日付・変更後の15時・場所・終了時刻未定を保持。変更前の時刻を省略
「14時から15時」のうち、14時が抜けた。
Claude日時・変更前後の時刻・場所・終了時刻未定を保持。元にない約束を追加
「決まり次第お知らせします」を追加。
Copilot日時・変更前後の時刻・場所・終了時刻未定を保持。情報を保持
元にない事実や約束は見られなかった。

丁寧な一文でも、約束が増えることがある

Claudeの初回回答・全文
10月20日の打ち合わせは、開始が14時から15時に変更となりました。場所は第2会議室です。終了時刻は未定ですので、決まり次第お知らせします。

日時や場所は合っています。しかし、元のメモにあるのは「終了時刻はまだ決まっていない」という情報だけです。後から知らせるかどうかは決めていません。

このまま送ると、受け取った相手は「終了時刻が決まれば連絡が来る」と考えます。今回の問題は、元にない行動の約束が加わったことです。

① 初回回答:元にない約束が加わった
Claudeの初回回答。元のメモの情報に加えて、決まり次第お知らせしますという通知の約束が追加されている。
青枠は初回回答、青線は「決まり次第お知らせします」。元のメモにはない通知の約束が加わっています。 元の4サービス比較の実記録です。横長の画面は枠内を左右に動かして読めます。
ChatGPT・Gemini・Copilotの初回回答も読む

ChatGPT

10月20日の打ち合わせは、開始時刻を14時から15時に変更いたしました。場所は第2会議室です。終了時刻は未定です。よろしくお願いいたします。

Gemini

10月20日の打ち合わせは、開始が15時に変更となり、場所は第2会議室です。なお、終了時刻は未定となっております。

Copilot

10月20日の打ち合わせは、開始時刻を14時から15時に変更いたします。場所は第2会議室です。終了時刻は未定です。

今回の条件と、分かる範囲

実施日は2026年10月11日。4サービスとも無料プランですが、新規チャットと継続チャットが混在し、モデル・設定の記録もそろっていません。各1件の観察なので、サービス全体の優劣や誤り率は判断できません。ここでは、元のメモと照合する方法を学ぶ実例として使います。

修正すると、どう変わった?

Claudeには、どの一文が、なぜ不要なのかを指定して修正を依頼しました。実際に送った指示は次のとおりです。

実際に送った修正指示

「決まり次第お知らせします」は元のメモにない約束なので削除してください。
元のメモの情報をすべて残し、ほかの条件も守って、100字以内の連絡文だけを書き直してください。
Claudeの修正後・全文
10月20日の打ち合わせは、開始が14時から15時に変更となりました。場所は第2会議室です。終了時刻は未定です。

修正後は、元にない通知の約束がなくなり、必要な情報は残りました。

② 修正後:元の情報を残して、約束を削除
Claudeへの修正指示と修正回答。元にないお知らせの約束が削除され、日時、場所、終了時刻未定が残っている。
青枠は修正後の回答。通知の約束がなくなり、日時・場所・終了時刻未定の情報は残っています。 元の4サービス比較の実記録です。横長の画面は枠内を左右に動かして読めます。
修正後も、元のメモと照合する
  • 10月20日、14時から15時への変更が残っている。
  • 場所は第2会議室のまま。
  • 終了時刻は未定のまま。新しい約束は加わっていない。

Geminiの省略も、具体的な指定で直せた

Geminiには「変更前の『14時』が省略されています。『14時から15時に変更』と明記してください」と伝えました。修正後は変更前後の時刻がそろい、場所と終了時刻未定も保持されました。

「もっと良くして」より、直す箇所と残す情報を具体化すると、自分でも修正結果を確認しやすくなります。今回うまく直せたことが、毎回同じ結果になる保証にはなりません。

元の質問・全回答・画面の記録:ChatGPT・Gemini・Claude・Copilotの比較記事

AIは、なぜ間違える?

原因は一つではありません。文章生成の学習方法に加え、使える情報、質問の条件、評価の仕方などが関係します。

自然な文章を学習する

言語モデルは、大量の文章から次に続く言葉を予測するように学習します。文章が自然につながっていても、すべての主張に事実の裏付けがあるとは限りません。

情報が足りない・古い

学習した情報に不足や誤りがあったり、最新の変更を確認できなかったりすると、根拠のない内容で補ってしまうことがあります。

入力とのずれが生じる

元の情報があっても、回答を作る途中で内容が変わることがあります。今回の連絡文では、情報の省略と、新しい約束の追加が起きました。

推測が報われる評価もある

OpenAIは、正解率だけを重視する評価では、「分からない」と答えるより推測するほうが得点につながり、誤情報が残りやすいと説明しています。

原因の説明:OpenAI「Why language models hallucinate」/OWASP「LLM09:2025 Misinformation」

検索と出典は、確認するための入り口

検索や外部資料の利用は、回答の信頼性を高める方法の一つです。使うときは、出典を開き、回答の数字や条件が、その資料に書かれているかまで確かめましょう。リンクが付いているだけでは、内容の一致は分かりません。

回答を確かめる3ステップ

メモから連絡文を作る場合は元のメモ、新しい情報を調べる場合は公式サイトや原典が確認先になります。まず、どの情報と比べればよいかを決めます。

  1. 確認する元の情報を用意する

    自分のメモ、契約の原文、公式の料金ページなどを手元に置きます。ニュースや制度は、発表日・更新日・対象の地域も見ます。

  2. 間違うと困る項目を比べる

    日時、数字、名前、決定・候補・未定の区別、追加された約束を確認します。今回なら「14時→15時」「第2会議室」「終了時刻未定」が比較する項目です。

  3. ずれを指定して直し、もう一度比べる

    「変更前の14時を残して」「元にない通知の約束を削除して」のように頼みます。直した箇所以外も含め、元の情報との一致を見直します。

送信・公開の前に見る、5つの項目
確認する項目見るところ今回のメモなら
日時・数字日付、時刻、金額、人数などが合っているか。10月20日、14時から15時へ変更。
名前・場所人名、商品名、会場名などが別のものに変わっていないか。第2会議室。
決定・未定候補や未定が、決定済みの情報になっていないか。終了時刻はまだ決まっていない。
元にない情報予定、約束、理由などが加わっていないか。後から知らせる約束は書いていない。
依頼した条件文字数、形式、残す情報の条件を守っているか。100字以内、情報を省略・追加しない。

使う前の指示でも、ずれを減らす

対象・時点・地域・目的を伝え、不明な点は不明のまま残すよう頼みます。事実・推測・提案を分けてもらうと、確認する箇所を見つけやすくなります。

自分のメモを整えるときの指示例

以下のメモだけを使って、連絡文を作ってください。
・日時、数字、名前、場所を変えない。
・決定、候補、未定の区別を保つ。
・メモにない事実、予定、約束を追加しない。
・情報が足りなければ、推測せず確認を求める。
・文字数や形式は、次の条件に合わせる。

条件:[文字数・宛先・文体などを書く]
メモ:[ここに元のメモを貼る]

これは説明用の指示例です。今回の4サービス比較で入力した質問とは別で、全サービスへ追加検証したものではありません。個人情報や仕事の秘密を含む場合は、入力前に取り扱いを確認してください。

最新の情報を調べるときの指示例

[対象・地域・確認したい日付]について調べてください。
確認できた事実と、推測・提案を分けてください。
確認できない点は「不明」としてください。
回答の根拠になる公式ページと、その発表日・更新日を示してください。

説明用の例です。回答後はリンクを開き、実在する資料か、対象の地域やプランが合っているか、数字・条件が一致するかを自分でも確認します。

独立した情報源による確認と人の監督:OWASP「Cross-Verification and Human Oversight」

大切な情報へ使う前に

確認の強さは、間違った場合の影響に合わせます。アイデアを集める段階と、送信・公開・契約などに使う段階では、必要な確認が変わります。

下書き・整理に使う

  • 自分のメモを読みやすく整える。
  • 考えをまとめ、アイデアの候補を出す。
  • 調べたい論点や検索する言葉を整理する。

使う前に内容を見直せる作業から始めると、ずれを確認しやすくなります。

原典を確かめて使う

  • 送る文章の日時・金額・約束。
  • 公開する人名・数字・引用・出典。
  • 医療・法律・税金などの重要な判断に関わる情報。

公式資料や原文を確認し、専門的な判断が必要な場合は、担当機関や専門家へ確認します。

実際に起きた事例|2023年・米国

架空の判例が、裁判資料に使われた

「Mata v. Avianca」の裁判では、ChatGPTが作った実在しない判例や引用が提出資料に使われ、存在を疑う指摘の後もその内容が主張されました。

2023年6月22日の裁判所の決定は、弁護士2人と所属事務所に総額5,000ドルの制裁金を連帯して科しています。裁判所は、信頼できるAIを補助に使うこと自体が不適切とはせず、提出する情報を確かめる弁護士の責任を説明しています。

原文の確認先:米国連邦地方裁判所の決定全文(Justia掲載)

よくある疑問

有料版なら、間違いを気にしなくてよい?

課金していることだけで、個々の回答の正しさは判断できません。使えるモデルや機能の違いはあっても、重要な内容は元の資料と照合します。

AIに「本当に正しい?」と聞けば確認できる?

見直すきっかけにはなりますが、AIの再回答だけでは元の情報との一致は確かめられません。「どの資料の、どの記述が根拠か」を確認し、資料自体を開いて比べてください。

別のAIも同じことを言ったら、正しい?

別のAIに聞くと、気になる点を洗い出せる場合があります。ただし、回答が一致したことだけでは、事実の確認は完了しません。日時・数字・出典は、元のメモや一次資料で確認します。

回答のすべてを、一文ずつ調べる必要がある?

まず、間違うと困る日時・数字・名前・条件・約束を優先します。重要な文書を送信・公開するときは、引用や出典も確かめます。確認できない情報は、断定を避けたり、使うのを保留したりします。

使う前に、元の情報と比べよう

今回の連絡文は、4件とも100字以内でした。それでも、変更前の時刻が抜けたり、元にない通知の約束が加わったりしました。

元の情報を用意する → 重要な項目を比べる → ずれを指定して直し、再確認する。

この順番で見れば、回答のどこが合っていて、何を直せば使えるかを、元の情報を根拠に判断できます。

参考資料・確認した内容(4件)
  1. NIST「Generative Artificial Intelligence Profile」(PDF)2.2 Confabulationの定義と、出典・引用を確認する考え方を参照。
  2. OpenAI「Why language models hallucinate」学習と評価の仕組み、推測が報われる評価と誤情報の関係を参照。
  3. OWASP「LLM09:2025 Misinformation」誤情報・過信のリスクと、外部資料による確認・人の監督を参照。
  4. Mata v. Avianca・2023年6月22日の裁判所の決定Justiaに掲載された決定全文で、架空の判例の提出、確認責任、制裁の内容を参照。

資料確認日:2026年10月12日。本文中の操作例と修正結果は、2026年10月11日の当サイトの4サービス比較記録に基づきます。